AIOpsとは

AIOpsの定義

AIOpsは、「AIを活用したIT運用 (artificial intelligence for IT operations)」の略で、機械学習(ML)と分析を利用してIT運用を自動化するプラットフォームです。AIOpsは、運用アプライアンスから収集したビッグ データを利用して、瞬時に問題を検出して対応する独自の機能を備えています。MLの力を活かし、AIOpsは適合する各種形式のデータを戦略的に使用して、継続的な改良と反復に役立つ見識を自動的に生み出します。AIOpsの目的は、機械学習、自動化、ビッグ データの利便性を活用して、急速に発展するIT環境に対応することです。以下の動画では、AIOpsとは何か、どのように動作するかを簡潔に概説しています。

AIOps製品の機能は、標準化されたアプローチを採用しています。プロセスの最初のステップでは、データの抽出を行います。ツールは多くのシステムから生成されるデータを収集し、プロセスの次のステップを最も効率よく実行できるように、適切な方法でクラスタ化します。その後、集約されたデータの綿密な分析が実施されます。MLアルゴリズムを使用して、これらのツールは個々のデータの間にあるパターンと関係を検出すると同時に、システム内の根本的な問題と中心的なポイントを特定します。次の段階では、AIOpsは「批判的思考スキル」の応用を試みて、直前の分析結果に対処します。このためには、IT運用の自動最適化を導入するとともに、検出したパターンを使用して潜在的な問題点を学習し、絞り込むことも必要です。このテクノロジは一般に、よりインテリジェントな、データに基づく意思決定に役立つ包括的な分析レポートの作成機能と組み合わされます。

 

AIOpsツール

ツールがAIOpsソリューションとなるためには、いくつかの運用能力を備えている必要があります。まず、正確な分析を実行できるように、多くのソース、アプリケーション、インフラストラクチャからのデータを正規化できることが必要です。次に、ツールは組織内の多様なIT資産を結び付けるロジック フローを理解できなければなりません。関連性の検出とイベントの結合も、人間による干渉の必要性を減らすことができるため、同じように重要です。これは 人工知能(AI). の本質そのものです。AIOpsプラットフォームの主な機能は、テレメトリ(リモート ポイントから収集され、ITシステムに送られて分析されるデータ)を使用して問題を予測、防止、または検出し、機械学習を使用してプロセスを適応および改良することです。

図1: AIOpsのイベントの相関付けと分析

 

AIOpsが重要である理由

AIOpsは、ITの問題をリアルタイムで分析して検出しながら、機械学習を利用してアプローチを最適化します。クラウドの導入拡大に伴い、AIOpsはIT運用の最適化にますます必要とされます。AIOpsプラットフォームの価値は、パターンの認識と、ITの問題を検出するためのアプローチの学習と改良という主要な目的を、人間の介入が不要な機械学習フレームワークの利用によって完全に実現することにあります。ただし、AIOpsはアラートの処理にとどまらず、検出したインフラストラクチャの問題に対処するという大きな役割も担います。

AIOpsが最も強力に適応する用途の1つが、クラウド セキュリティの強化に向けて発展している取り組みです。脅威インテリジェンス データ ソースとの統合により、AIOpsはクラウド フレームワークに対する攻撃を予測し、回避する機能を備えています。AIOpsは、セキュリティ イベント管理の自動化にも主要な役割を果たすことができます。これは、IT環境のセキュリティ イベントを特定し、集約するプロセスです。MLのメリットを活かして、AIOpsはイベント管理のプロセスを進化させることにより、監視とアラートのアプローチを改良できます。もちろん、不正検出もAIOpsの使用例の1つです。従来は、データを取捨選択し、予測分析を使用して不正行為の検出結果を正しく作成する、煩雑なプロセスが必要でした。このプロセスに必要になる膨大なデータの入力と調達を自動化することで、組織の時間とコストを節約できます。最もシンプルな自動化事例の1つでは、AIOpsはデータに対して定義された特定のルールのセットと定義されたカテゴリに基づき、データを監視して「タグ」を付けることができます。

このデモでは、AIOpsの仕組みを詳しく説明し、実装の準備ができているお客様を対象にAIOpsの使用例とトレーニングを紹介します。

 

AIOpsのメリット

AIOpsが備えている多くのメリットの中で最も明らかなものは、数種類のモニタリング ツールの機能が一元化されることです。モニタリング環境の複雑化に伴う最大の問題の1つは、根本原因を特定するためだけに5~10個のモニタリング ツールにまたがる検索を行う必要があることでした。AIOpsが提供する単一のプラットフォームでは、異種混在のソースの間ですべてのデータを正規化して相関付けることにより、1つのダッシュボードにすべての情報がより論理的に理解できるように表示されます。

モニタリング ツールから出されるアラートの数が増え続けており、これらをどのように管理すればよいかが最大の懸念事項の1つです。ここでAIOpsが本領を発揮します。継続的に適応して知識を蓄積するMLアルゴリズムを活用するツールにより、これらのアラートを整理でき、組織がこの整理を効果的に行うために必要な時間と人材を節約できます。AIOpsは、ダウンタイムの削減とともに、問題とアラートの特定と優先順位付けにも役立ちます。

また、AIOpsは、予測分析という人間にはない特有の機能を持っています。前述のように、AIOpsプロセスの最初の段階ではデータの集約と分析が行われます。このテクノロジは、提供されたデータを使用して、十分な情報に基づいて自動化された意思決定を行うことができます。さらに一歩進んで、AIOpsは将来の問題を予測し、パフォーマンスに悪影響を及ぼす前に修正できます。

これらのメリットと使用例を概観すれば、AIOpsがITの運用効率を高めるために幅広く導入されているのは当然のことといえます。

 

AIOpsソリューション

SD-WANとAIOps

SD-WAN(ソフトウェア定義型広域ネットワーク)は、近年は大規模に活用されており、WANアーキテクチャに俊敏性と回復力を加えて低コスト化します。ネットワーク接続がまさにビジネスの最優先事項となった新型コロナ パンデミックによって、この有用なメカニズムの導入がさらに加速されました。これにより、高いコストのかかるIT部門の労力を導入プロセスに費やす必要性が減りましたが、WANの障害を検出して解決するという問題は残っています。AIOpsがSD-WAN環境でメリットを発揮するのはこの部分です。イベントの相関付けの自動化がSD-WANに統合されることにより、本来なら回復力の向上によって障害が潜在化しがちな環境で、ネットワークの問題を特定できます。人工知能を活用するシステムは、大量のデータを処理でき、最も見分けづらい危険信号を予測分析によって見極めることができます。AIOpsは確実に、SD-WANの機能と有効性の範囲を押し広げる手段です。

パロアルトネットワークスは、Prisma SD-WANによってAIOpsに有意義な進歩をもたらしました。従来型のSD-WANは、コスト削減のためにマルチプロトコル ラベル スイッチング(MPLS)からの転換を可能にすることを重視していましたが、パロアルトネットワークスは、自動化、総所有コストの削減、アプリケーション パフォーマンスの向上を実現し、クラウドから豊富なセキュリティ サービスとネットワーク サービスを提供する次世代ソリューションの有効性を確信しています。Prisma SD-WAN向けに最近新しくリリースされた強力なAIOps機能強化には、イベントの相関付けと分析、改良されたダッシュボード表示、サードパーティのコレクタにテレメトリをエクスポートする機能が含まれています。容赦のない速さで拡大する組織では、ネットワーク運用のシンプルさと自動化がかつてないほど重要になっています。

Gartnerは、AIOpsプラットフォームに関するマーケット ガイドでベンダーの評価を行っており、MLと予測分析の機能を備えたAI主導のテクノロジが組織のIT運用にどのようなメリットをもたらし、コストの削減につながるかについて、リーダー向けに見識を提供しています。またGartnerは、AIOpsプラットフォームの成長が続く中でのトレンドと重要な調査結果も示しています。Prisma SD-WANはAIOps機能を備えており、煩雑なネットワーク運用作業を軽減して自動化するために役立ちます。Prisma SD-WANは最近、2021年のGartnerマジック クアドラント(WANエッジ インフラストラクチャ部門)でリーダーの評価を受けました。

Prisma SD-WANを使用してネットワーク運用を簡素化する方法について詳しくは、こちらをご覧ください。